組曲まとめ3

とりあえず映画のラスボスにヒドイことしたよね、と。
ああ、もう、本当にヒドイことしたよね。絶許(以下略

音楽テーマなスイートさんには「同じ物でも使い方によって変わる」という裏テーマがあったそうで。
それを象徴しているのが、幸せのメロディにも不幸のメロディにもなる伝説の楽譜であり、
楽譜を構成する音符であり、人々の大切なものが怪物になるネガトーンでもあったわけです。
それらは、元をただせば『人の心』そのものだというのが、
最終盤・ノイズさまとの戦いの中で語られたことであります。

ただ、この裏テーマ。私はぴあのインタビューを読んで初めて気づいた口で、
しかも、この最終盤に至るまで本編中ではほとんど言ってなかったような気がします。
記憶違いならごめんなさい。
でも、(また去年と比較してると怒られそうですが)しつこいくらい「チェンジ! チェンジ!」を
繰り返していたハートキャッチさんほどには、印象に残っていませんでした。
まさに「言ってくれなきゃわからないよ」by来海えりか

個人的には、この「言ってくれなきゃわからない」が、スイートさんを語る上で
一番しっくりくるテーマのように思います。
スイートさんはコミュニケーション不全の物語でした。
誰もが本当のことを言わないし、誰もが人の話を聞いていません。

……まぁ、相手の話を聞いていない(というか、聞いても無視する)のは歴代キュアにも
いたりいなかったりするのですが、それは「敵側の理屈だけを押しつけるな」という反発であり、
価値観の多様性を訴えているともいえます……とても好意的な解釈をすれば、ですよ?(笑)
この点で、敵側とのコミュニケーションは断絶しており、相互理解が望めないのですが、
それはこの際、横に置いておきます。
シリーズが進むにつれ、相手に手をさしのべる人も増えてきましたし。

大事なのは、互いに真意を言っているのか。
本当のことを言っているのか、ということです。
反発するにせよ、受け入れるにせよ、すべてはそれからではないでしょうか。 ※

※ 花咲さんは相手の事情を知らないのに手をさしのべた変な人。

スイートさんには、本当のことを言っている人が少なかったと思います。
ミューズの正体しかり、メフィストの正体しかり。
特に後者なんて、もっと早い段階で誰かが話していれば、ややこしいことにならずにすみました。
ハミィは天然ボケですますにしても、そもそもプリキュアを探すよう命じたアフロディテさまは、
聞かれるまで言う気がなかった節が見受けられます。
大事なことを隠して、自分の夫が殺されかけるのを黙って見てたんですよ、あの人!?
怖い! 怖すぎる!

音吉さんは「隠すつもりはなかった」と言ってますが、
制作者側が隠すつもりだったのですから(笑)、視聴者からしてみれば明らかに嘘。
話の都合で『言わされた』台詞に聞こえてしまい、これはよろしくありません。
素直に「隠してて悪かった」と謝ってさえくれれば、誰も文句なんてつけないんだよう。

本来、味方であるはずの人たちさえ、本当のことを言ってくれません。
もう誰の言うことを信じたらいいのかわかりません! 怖いよスイートさん!
メイジャー王家はキュゥべえか!

ぜぇぜぇはぁはぁ。

思えば、北条さんと南野さんが一年も喧嘩してたのだって、ほんの小さなすれ違いからでした。
北条さんが音楽嫌いになったのだって、団パパが回りくどい表現を使ったことが原因です。
さらにはノイズさまが封印されたのだって、音吉さんにノイズさまの話を聞く気が
なかったからでしょう。
ノイズさまも自分のことを積極的に話す気なかったんでしょうし。

どれもこれも、相手の話を聞き、相手に話を聞いてもらおうという姿勢が欠けています。
だから、コミュニケーション不全の話だったとする方が、私には理解しやすいのです。

さて。

今この時期に「悲しみを受け入れ、乗り越える」という結論を持ってきたことについては、
やはり震災の影響を考えないわけにはいきません。
思うに、当初の予定とは若干違う着地点だったのではないでしょうか。
私は未見なのですが、実際、震災を考慮して結末を手直しした、という
関係者インタビューはあるらしいですし。
劇場版なんかは白紙に戻して作り直したそうですし。

全体を通して見られる構成の粗は、この微妙な修正をするためだったとすれば、
まぁ、理解できないこともありません。

震災があったのは昨年3月。
放送の3ヶ月くらい前には作画作業に入ってないといけないと聞きますから、
微修正があったとして、それが実際に表に出てくるのは6〜7月頃かなぁと思います。
だいたいビートさん登場編あたり、ということになりますよね。
ということは、やっぱり前半のアレやコレは擁護しきれないってことになるのかしらん。
むむむ。

自らを『悲しみそのもの』と語るノイズさまに、北条さんたちは
「今までも悲しみを乗り越えてきたし、これからもそうする」と答えます。
ですが、ノイズさまの言う『悲しみ』とは、すなわち震災レベルの『悲しみ』だと思います。
人の力ではどうすることもできない、圧倒的に迫ってくる『悲しみ』のことです。
対する北条さんたちが乗り越えてきた『悲しみ』とは、いずれも人間関係の不和であり、
個人レベルの『悲しみ』にすぎません。

このあたり、どうにも話が噛みあっていないと感じていました。

もちろん『悲しみ』をレベル分けするなんておかしい、『悲しみ』に優劣なんてない、と
言われれば、それは確かに正論なのだけれど、それでも、双方の言う『悲しみ』は
質が違うのではないかと思うのです。
結論が美しいだけに、そして、おそらくは軌道修正したがために、
プリキュア側の『悲しみ』が弱く、惜しい結果になってしまった気がします。

これが月影さんくらいの『悲しみ』を背負っていると、ごめんなさいするしか
なかったりもするんですが、あそこまでのはもう無理っぽい気もしますしねぇ。
まぁ、最後の最後になんとかまとめてきた感じはいたしました。

といったところで、組曲ここまで。
先日来、あれこれ書いたことで誤解されたかなという気もしているのですが、
文句をつけるのは、それだけ楽しみにしているし期待もしているということなので、
ご容赦いただけないかなぁと思います。

期待していないものには文句もつけませんし、そもそも見ません。
その方が、実はよほど残酷な仕打ちではないか、なんて、私は思いますけれど。