絶対に許

語尾に『さない』をつけるか『す』をつけるか。


「同じ物でも見方によって変わる」のがスイートさんのテーマなんだとしたら、
こうやって評価が割れていること自体が「同じ物の違う見方」ということになるのかしら、
なんて、ぼんやり思ったある日の夜。
だとすれば、それって、つまり作り手の思うツボってこと?
いや、しかし、そこまで考えていたとは思……げふんげふん。

たとえば勇者特急なんかは、最後の最後にとんでもない「ちゃぶ台返し」をやらかしていて、
作品自体もメタフィクションだった、なんてことを監督が言っているわけです。
私は最終回をリアルタイムでは見ておらず、ちゃぶ台返しメタフィクション発言も
あとから知ったクチなので、その衝撃はそれほどではありませんでした。
でも、あの最終回を実際に見た人は驚いたでしょうし、あれはあれで、
それなりに賛否両論あったように記憶しています。

それでも勇者特急が許されて、今でも好きだという人が結構多いのは、
各話がちゃんとロボットアニメとしておもしろいからだと思います。
及第点を満たしているから「裏にこういう意図がありました」と言われても
そうだったのかと思えたり、もう一度見たときの発見になったりするわけです。

同じ監督の、機動新世紀もそう。
あれには、明らかにガンダムニュータイプに関してのメタファーが含まれています。
まぁ、商業的には少々ふるわず、短縮やら時間変更やらの憂き目にあいましたが、
全体を見れば、少年の成長物語として一本筋が通っており、決してつまらなくありません。
前作と前々作ほどには、ケレン味が足りていなかったかもしれませんけど。

さきほどから何が言いたいかというと、制作者のメッセージとか裏テーマとかいったものは、
きちんとおもしろい物語を描けて、初めて意味を持つのではないか、ということなんです。
ちゃぶ台返しのためには地道な積み重ねが必要だ、と言いかえてもいいです。

スイートさんには、その積み重ねが、ちょおっと、ちょおぉぉぉっと、
足りなかったのではないか、というのが私の感想です。
あるいは、積み方がおかしいといいますか。

……うん。まぁ、何を言っても後の祭りちゃんですし、今さら仕方ないってことは
重々承知しているんですけれど、ね。

あとは……そうですねぇ。
スイートさんという「共通体験」で将来に向かって「連帯」できるのなら、
それはそれでいいのかな、なんて思ったりしました。
アレとかコレとか絶対に許さないけど(笑)